他団体の活動紹介

公益社団法人大阪精神科診療所協会

精神障害者の人権保障を目指して

明治以降、先進国としての体裁を整えることを急ぎ、この国では数十年にわたり精神障害者の隔離・収容を推し進めてきました。そしてその最前線には、間違いなく私達精神科医が居たのです。1960年代、『ノーマライゼーション』の理念が世界を駆け巡り、私達の先輩医師達も、この国の精神科医療の人権軽視に異議を唱えます。この時から、私達精神科医は、精神障害を抱える人達の人権に無関心ではいられなくなったのです。
精神障害を抱える人が地域で当たり前に暮らすことは容易ではありません。未だに周囲の偏見や無理解があることは皆さんもご存じだと思います。多くの人にとって精神障害は他人ごとでしかないのです。認知症であれば「明日は我が身」とばかり、一心に情報を集めますが、精神障害となるとまるで関心がないのです。何も知らない人達が、事故や事件を精神疾患と安易に結びつける報道に接した途端、一様に眉をひそめるのです。そういう社会で、そういう地域で、当たり前に、普通に暮らす為に、ただそれだけの為に、精神障害を抱える人達には余計な努力や忍耐が必要になります。人付き合いが得意ではない彼らが地域で孤立してしまわないよう、バリアフリーなんかではないこの国で自分達の居場所を見失わないよう、少しでも障壁を取り除きたいと、当協会(大精神)では活動を続けています。

精神科診療所の役割

精神科診療所が身近にあることを、精神障害がありふれた身近な疾患であることを、私達は半世紀の間ずっと発信し続けてきました。50年掛かりましたが、精神科医療を地域に根付かせることは出来たのではないかと自負しています。昨年度は「地域で孤立する精神障害」というテーマで、府下の精神科相談員が、所属を超えて一堂に会することも出来ました。これを機に、顔の見える地域連携によって、健常者との隔てのない、精神障害者が地域で当たり前に暮らせる社会の実現へと、弛むことなく活動して参りたいと考えています。

〈原稿提供:釘抜 利明〉

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現在、当センターの活動には、当事者、家族、看護師、PSW、OT、医師、弁護士、教員、 学識経験者、マスコミ関係者等の様々な立場の方が、世代を超えて参加しています。当センターは精神科病院に入院中の方々への個別相談や精神科病院への訪問活動、精神医療及び精神保健福祉分野への政策提言活動等を行っています。

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