あみの存在意義―「精神障害者福祉」の追求
2004年に国が唱えた『精神保健福祉医療改革ビジョン』は、「社会的入院の是正と病床削減」「地域生活確保促進」「スティグマへの対応」という柱を据え、人権擁護の観点からも大事な宣言としてとらえられました。
しかし掛け声むなしく、その後、「退院促進事業の終了」「同意者拡大による医療保護入院の質的転換(入院促進)」「病棟転換居住型施設の事業化」「措置入院経過者に対する社会的監視体制」「重度かつ慢性基準の運用」「障害者総合支援法の成果主義の強調」「身体拘束事案の多発化」 「精神保健福祉情報(630:ロクサンマル)非開示問題」「事件報道と精神疾患との安易な結びつけ」等々、本分野での動向は、精神障害者の人権を脅かす事柄に満ちています。一方で共生社会の創造を施策の機軸とし、障害者権利条約の批准があったとしてもです。
これらの経緯に通底している社会的なまなざしには大きな危惧を覚えます。それは「優生思想」に由来し、社会に浸透している「人の存在への希薄な評価意識」ともいうべきものです。今後どういう問題意識や視点を持ちながら進むべきなのか。向かい風を強く感じる時節にあって、あらためて今後を展望する必要を思うのです。
大きな前提として、「精神障害者福祉」を追い求めていくことです。「福祉」とは、「すべての人が望む理想的な生活状態」であり、「幸せ」を原義とし、その目標は「生きがいを持った暮らし」を意味するものです。