報 告 大阪弁護士会の精神保健業務の現状と今後の展望
大阪弁護士会ひまわり精神保健部会 守田 恵
・精神障害者の権利擁護活動をしたいと思い、弁護士になりました。
・弁護士だけでは日本の精神医療の現状を変えることができません。
・大阪精神医療人権センターの協力が、いつも助かり、励みになります。
2021.03.23 UP
私は、精神障害者のための権利擁護活動が必要であると考え、弁護士を目指しました。現在は、大阪弁護士会ひまわり精神保健部会に参加し、また、大阪精神医療人権センターと協力しながら、精神科病院に入院している方の退院・処遇改善請求等(精神保健支援業務)を行っています。
九州弁護士会連合会との意見交換会では、大阪精神医療人権センターとの協力・連携による精神保健支援業務について発表しました。
入院中の方から、弁護士宛にたくさんの電話や手紙、面会要請がなされることがあります。しかし、すべてに応えることができない現状で、とても歯がゆい思いをすることがあります。そんなときに、入院中の方を大阪精神医療人権センターに紹介し、一緒に相談に乗ってもらうことがあり、とても心強く感じます。
また、大阪精神医療人権センターの活動参加者には、当事者、入院経験者、医療・福祉関係者、大学教員等様々な職域での経験があり、私には足りない視点をたくさん提供してもらうことができます。
退院が決まった後についても、いろいろ相談することができ、安心して、精神保健支援業務を行うことができます。私一人では、弁護士だけでは、充実した精神保健支援業務ができないと日々実感しています。
退院・処遇改善請求等の代理人活動を行う場合には、精神医療審査会に意見書を作成し提出します。その際に、一緒に面会したときの状況に関して、報告書を作成してもらい、意見書と共に提出したことがあります。「言った」、「言わない」等証拠評価が問題となる中で、第三者の視点でサポートしてもらえることはとても心強いです。
また、退院後の環境調整が必要な案件では、福祉サービスに関して十分な知識やノウハウを持たない弁護士だけでは難しいため、大阪精神医療人権センターの方に相談することがあります。
さらに、大阪精神医療人権センターには、大阪府内の精神科病院に関する情報が蓄積されているため、面会の際に参考にしています。
それだけでなく、精神科病院に入院中の方の中には、日本の精神医療の現状について問題意識を持ち、それを多くの人に訴えたいと思う方がいますが、この場合、人権センターニュース等へ記事の提供をお願いしています。
今後も、精神保健支援業務を行う弁護士が増えるよう、活動を続けていきたいと考えています。
ただ、弁護士でも、初めて精神科病院に行くことに不安を感じ、躊躇する人が多いようにも思います。
そうした不安は、大阪精神医療人権センターとの協力により払拭できると思います。私もその一人です。そして、大阪精神医療人権センターとともに、日本の精神医療の現状を考え、精神障害者の権利擁護を実現するための活動に尽力したいと思います。
今年から、大阪精神医療人権センターの会員として、活動に参加しましたが、これからも人権センターの活動が拡充するように、微力ながら活動に参加していきたいと思います。
九州弁護士会連合会からは、世代を問わず多数の方が参加されていました。このようにたくさんの弁護士が、精神保健支援業務を熱心に行っていることに刺激を受けるとともに、自分も頑張らねばと決意を新たにした意見交換会でした。
これからも、たくさんのことを教えてください!!
「活動報告書│精神科病院に入院中の方のための 権利擁護の拡充に向けて」より
活動報告書では、大阪弁護士会からの報告だけでなくく、九州弁護士会のとりくみや、弁護士だけではない様々な職種・当事者・市民との連携について詳細レポートを掲載しています。
【ご案内】活動報告書│精神科病院に入院中の方のための 権利擁護の拡充に向けて(日本財団助成事業)
https://www.psy-jinken-osaka.org/archives/soudan/2588/