大阪精神医療人権センターが設立されたのは1985年11月です。前年の1984年に発覚した宇都宮病院事件~病院職員が鉄パイプで入院者を殴って死なせた事件~をきっかけに、閉鎖的な精神科病院に風穴を開け、違法・不当な人権侵害をさせないことを目的として、当センターは設立されました。このとき、日本の精神医療は国際的な批判を浴び、当時の「精神衛生法」が改正されて「精神保健法」(後に「精神保健福祉法」)が制定されました。入院者の意思に基づく任意入院を原則とすること、入院者の権利擁護のために退院請求・処遇改善請求を認め、精神医療審査会というチェック機関を設けることなどの法改正がなされました。 ところが、1993年に大阪で大和川病院事件が起こります。この事件も、入院者が病院内で暴行を受けて転院先の総合病院で死亡するという事件でした。当センターに所属する弁護士らが遺族から依頼を受け、病院に対する損害賠償請求の裁判を起こします。それと並行して、入院者との面会活動を繰り返しました。病院職員の話から病院の内情が次第に明らかになり、医師や看護師が極端に不足していることや入院者を診察しないオーナーが決めた薬が処方されるなど適正な医療が行われていないことが分かってきました。私たちの活動に対し、病院側は、入院者と弁護士との面会を妨害したり、当センターの代表などを逆に訴えたりしてきました。-大阪精神医療人権センター設立35周年にあたってより-
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