サポーターは病院の応援団!
2020.11.28 UP
大阪府精神科医療機関療養環境検討協議会(以下、協議会)に大阪精神科病院協会(以下、病院協会)からの委員として参加することになった時、前任の先生からは「非常に勉強になる」と聞いていたから、期待をしていました。また、他の委員のみなさんの率直な意見を聞けること、病院の管理者としての思いを述べてきたことも聞いていました。最初は様々な意見が出ることに驚きもありましたが、非常に刺激もあって、この協議会でのやりとりが「いいことやな」と思って参加していました。
外部の人からすると「そう思うのか」という発見になりいい面もあるけれど、現場の管理者としては「こういう理由もあるんだよ」など、分かってほしいと思うこともあります。それでも、こうやって療養環境についていろいろな立場の人が集まって意見交換ができる場は、協議会の場しかないですよね。
協議会前に報告書には目を通すけれども、協議会で実際に報告を聞くと、より詳しいし、行った時の思いも伝わってくるから、さらに報告書が読み取りやすくなります。報告書だけでは、堅苦しいというか、病院が責められているかのような印象を受けたり、文章だけでは伝わらない部分があると思いました。でも、人権センターさんは一人一人の患者さんの声を聞いてくれているから、その声があったことは事実で、貴重な意見と思って聞いていました。
協議会の委員としていくつかの病院に、協議会で議論された内容を伝えに行ったことがありました。その時は、何も責めているわけじゃないと、協議会がいわんとしていることを伝えるようにしました。文書で渡してしまうと、「こういう部分が改善されていません」とかになってしまって、敵対関係じゃないのにそんな風になってしまいますよね。
たとえば、ハード面について検討してほしいと言われても、「構造的に難しい」とか、「お金がないから無理や」「医療費が少ないから無理」とか、そういう話になってしまいます。でも、「協議会では決して構造的な問題をお金が掛かる方法で解決してほしいと言っているわけではないんです。例えばこういう風にしてみればきれいになって、臭いが取れて、圧迫感がなくなるんちゃいますかねっていうような話をしているんですよ」などと伝えてきました。病院さんに対して、身構えなくていいですよ、っていうことを伝えています。
協議会に出ると協議会での目指しているところが少しずつみえるので、サポーターには病院を応援していただいていると思えます。結果として、患者さんの快適性があがることにつながればいいなと思います。そういうことは、これからも病院協会の中で伝えていきたいです。
病院の決まり事などに対しては、患者さんや家族さんにしてみると、疑問に思うことはあるでしょう。たとえば、お風呂は週に3回とかいうことでも、「なんでそう決まってるんかな」「入りたい時に入れたらいいし、入りたくない人は入らなくていいんじゃないか」とか、そういうことがたくさんあるやろうと思います。そんな時に、スタッフに聞いても「決まりやから」で終わりではなく、「こういう理由でこうなんです」と説明すればいいんだろうけど、どこまでできているだろうか。
ひとつの病院の管理者として思うのは、人権センターさんが来られて、病院を見て、例えば病院のルールについて疑問に思ったことなどを率直に述べられるのは、スタッフにとっては勉強になると思います。院内研修で人権センターニュースを使いました。患者さんの声をみながら、「こう言われたら、どう答える?」って職員に考えてもらうのです。すると、つい当たり前でやっていて、答えられないこともありました。でも、スタッフには、そこは答えられる技量を身に付けて、ちゃんと答えられるようになってほしいなと思います。
報告書をもとに議論をする時に、「これはすこし違う」「こんなことはありえない」とかいう細かな確認の話になると、それだけで終わってしまうかもしれません。病院からの回答で事実関係についての訂正を教えてくれることはありますが、協議会ではそんなことは議論になりませんよね。「患者さんの声やから、ちゃんと聴きましょう」となりますよね。患者さんがそう思ったことは事実だととらえて議論されます。これは、大阪精神科病院協会がこの協議会に出て、学んできたことのひとつで、非常にいいことだと思っています。ただ、ここに行きつくまでには、ずいぶん苦労はあったと思います。最初の頃は、受け入れる側も恐れていた面はあると思います。
今は訪問の際には「他の病院ではどうなっていますか?」というやりとりがあるようですが、今後、さらに病院協会や病院が人権センターさんに「これはどう思いますか?」と相談できる関係になったら、最高やと思います。