ご報告 意見書を提出しました 詳細
「大和川病院事件が繰り返されている」この事件の一報が入ってきたときに最初にこう思った当センターの関係者は少なくありませんでした。
2023年2月、東京都にある滝山病院で看護師による患者への暴行事件が報道によって世間に明るみに出ました。患者から相談を受けた代理人弁護士が調査し、刑事告発したことを受け、警視庁が2月14日に看護師の1人を逮捕し、15日にはその件と他3名の看護・准看護師による入院患者への暴行疑いで同病院に捜査にはいりました。2023年5月現在までに最初の1人を含め計3人の看護師を患者への暴行容疑で警視庁が立件しています。
代理人弁護士は協力者から院内の動画や録音を入手しており、加えて入院患者や元職員から聴き取られた暴行や虐待の実態として、看護師が患者を殴る、蹴る、罵倒する、威嚇する、職員同士で患者の人権をないがしろにするような会話をする、暴力や虐待をする職員を他の職員が止めない、不適切な医療が行われている可能性があることなど、卑劣で非人道的な行為が多くあったことが明らかになっています。
精神科病院の認可や指定をおこなう東京都では、2022年5月には「虐待がある」との情報提供を受け、病院に聞き取り調査や立ち入り検査を計4回行っていたとのことですが、その際には虐待などは確認できなかったということです。東京都は1人の看護師の逮捕を受け、2月15日と2月24日に立ち入り検査を行い、2月25日に同病院へ医療法と精神保健福祉法にもとづく改善命令をだしました。改善命令では、同病院で虐待があったことを認定したうえで、虐待の防止と早期発見の対策として虐待などを発見した場合、都に速やかに通報できるよう職員への周知を命じ、2週間以内に改善計画を提出するよう求めました。さらに東京都はこの際に、患者に退院意向を尋ねる方向で調整していることも明らかにしていました。
当センターでは、関係各所に(1)病院の実態調査と入院者の救済策、(2)実効性のある再発防止策を提案するため、意見書を提出しました。
- 事件の発覚は氷山の一角
- 経営体質に問題のある病院
- 閉鎖性、権力性、支援者の不足
- 行政による指導監督が機能していない
- 福祉行政の責任も大きい
第2 当面の再発防止策の補足説明
- 入院者訪問支援事業について
- 病院訪問型アドボケイトについて
- 虐待防止と行政の対応
- 入院者に権利と連絡先を周知する
- 病院職員への権利と義務の周知