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身体拘束中の窃盗事件と体験を重ねて

2022.03.25 UP

人権センターニュースを読んで思い出したこと

拘束中に40万円盗まれた事件、私も報道などで知っていましたが、「よくそれがちゃんと表に出たな」と思っていました。
自分自身の経験からも精神科病院の中ではとんでもない事が起こっていたとしても、閉ざされた環境下で、なかなか明るみに出にくい。今回の事件も氷山の一角だと思っていました。
今回、人権センターの人がかかわっていたということで
「そうだったんだ、よかった!」と思いました。

被害者にあわれた方が書かれた文章は「めっちゃ共感。わかる〜(涙)」って思いました。特に、人権センター以外からはどこからも軽くあしらわれるって所。私もそれ、めっちゃ悔しかったです。

保健所に電話して、現状を訴えた時なんて、まるで子どもをあやすかのように、「ハイハイ」みたいな対応でした。
「ああ、精神科病院に入院したって言うと、そこでまず偏見が入って、私自身の意見は尊重されないで軽視されて被害妄想と思われてるんだな」と思いました。
こりゃ、うかうか産後に行政に頼れんなって思いました。

感想文がかけない理由

その後、もう少し詳しくニュースの感想文を書こう書こうと思いながらも、なぜか、どうしても書けませんでした。
自分が受けた、あの体験を思い出すのが辛いから書けないというより、まだ幼い、重度の知的障害を伴う自閉症の息子の将来の事を想像し、私自身の体験とリンクしてしまい、不安と苦しい気持ちが襲ってきて書けなくなっている自分がいます。

私が隔離室の体験をしたのは息子が生まれて10ヶ月の時でした。人権センターニュースのために体験談を書いていた頃は、息子に障害があることは判明していませんでした。
あの時は、精神科病院での処遇に、許せないという気持ちが言葉にどんどん出てきて、長い文章になりました。自分が受けた恐怖体験と不条理さをなんとか外に吐き出したい気持ちが大きくて原稿を書けたのかなと思います。

今は、障害のある息子があんな体験するんじゃないかという息子の将来の不安から、精神科病院の問題に向き合うことを避けている自分がいる気がします。

息子の事を見ていると、隔離室に入れられて、オタオタしている将来の息子の姿を想像してしまう時があります。

私が隔離室に閉じ込められた時、自分の事よりも、
「こんなめにあってると父が知ったらさぞ悲しむだろうな」
「もし、自分の子供がこんな体験するような事があったら、親としていたたまれないな」
と思いました。
人として扱われない。完全に人権侵害。
この世に生を受けて、、こんな体験するなんて。
そしてそれが許される日本に、失望を覚えました。

私が精神科病院であんな体験しなければ、もうちょっと前向きに息子の障害のことを受け入れられただろうな、、、とすごく思います。

できることを少しずつ

精神科病院や障害者福祉、変わってもらわないと息子より先に死ぬに死にきれないので、大阪精神医療人権センターで出来ることをしたいと思っています。

人権センターとの出会いや思いを吐き出せたことで今は少しすっきりしている部分があります。ずっとため込んでたら、こんなに楽にならなかったと思います。とても感謝しています。

拘束中に40万円盗まれた事件も、人権センターと、繋がれたからこそ、明るみに出たと、すごく感じています。
精神科病院で閉ざされた中に居る入院患者さんに、人権センターの事を知ってもらいたい!と願います。

私も、人権センターで自分にできることを少しずつしていきたいです。

※本インタビューはSOMPO福祉財団のNPO基盤強化助成で実施しました

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