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人権センターと精神科病院の関係について~目指すところは一緒~

2022.04.02 UP

人権センターと精神科病院の関係について~目指すところは一緒~

大阪の訪問活動では、病棟への訪問後に病院側と訪問者(療養環境サポーター)の間で意見交換をして、おおよそそれにもとづいて報告書を書くようになっていますよね。以前は意見交換はなかったけれど、今はお互いの言い分を言える場(大阪府精神科医療機関療養環境検討協議会)があります。
私もこの検討協議会の委員をしていたことがあったので、病院を訪問したサポーターの意見(報告書)とそれに対する医療機関の回答をもとにした協議会の議論にも参加しました。そのやり取りからも、医療機関も人権センターも「患者さんの治療をどうするのか」「人権をどう守っていくのか」といったことについて目指すところは一緒だと思っています。

一方的に意見を言われただけになると、医療機関側としてはどうしても被害的になってしまいます。また、ネガティブなことだけ指摘されると嫌な気持ちになります。努力もきちんと見てほしいと思います。
「お互いの立場や気持ちを考える」ことで信頼関係ができてきたのだと考えています。

隔離・身体拘束について

精神科のスタッフの中には、隔離拘束等の行動制限をしたい人なんていないんです。隔離拘束をしないと患者さんも医療者側も両方が苦しいことがあるわけです。医療者側も大変な重責を負っているということも、理解してもらえればと思っています。
つまり、病院側として行ってきた努力も、やはり聞いてもらったり、認めてもらったりしてもらいたい点ではあります。隔離拘束なしに治療できるなら、そうしたいと思っています。

もしも、1対1の看護ができるなら、それも一つの方法だと思います。それでご本人が落ち着くのなら、それは治療としても評価されるので、診療報酬請求ができるようにといった議論につながるかもしれない。

スタッフはもしも入院中の方から暴力を受けても、無抵抗のままでいるでしょう。そうしなければ治療にならなくなってしまいます。加えて、当院では看護師は女性が多く、入院中の方が興奮して殴られたり蹴られたりすれば、ダメージはとても大きいものです。わたしも入院中の方に殴られたことがないわけではありません。

措置診察なんかに入ると、落着いたら普通にやりとりもできるはずだと思いながらも、かなりの興奮状態の方を前に「どうしたらいいものか」と思うこともあります。そういった場面で、どうしても強制治療が必要な場面があるということも知ってもらいたいです。
その意見の違いを超えていくために必要なことは、お互いをもっと知る努力もいるのだと思います。

そして、隔離拘束を指示する立場の医師としては、どうしても他の患者さんや看護師が怪我をしないようにということを考えます。だから、行動制限下でも開放観察で様子をみて、確認していきます。以前は、隔離拘束を外してまた必要になった時には全ての手続きを最初からしなければならなかったのでとても手間がかかりました。今は「開放観察」をもうけ、その間は隔離拘束などの制限の解除に向けて、制限を外す時間をもつことができます。これで実際的には早く隔離拘束が解けるようになっていますし、そういったやり方は、ずいぶん定着してきているのではないかと思っています。

精神医療人権センターへの提案

医療機関としては、直してほしいところと努力しているところ、つまり改善が必要な点と努力している点のどちらも見てほしいですし、患者さんの言い分は当然ですが、さらに医療機関の言い分もきちんときいてほしいと思います。
また、精神医療人権センターが精神医療審査会のメンバーに入ればいいなとも思うんですよね。審査会はいろんな意見がでる場なのでそういう場にいてもらうこともありではないかと思うのです。

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現在、当センターの活動には、当事者、家族、看護師、PSW、OT、医師、弁護士、教員、 学識経験者、マスコミ関係者等の様々な立場の方が、世代を超えて参加しています。当センターは精神科病院に入院中の方々への個別相談や精神科病院への訪問活動、精神医療及び精神保健福祉分野への政策提言活動等を行っています。

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