2023年2月にNHKの報道にて発覚した滝山院事件(東京都八王子市)は日本全国に衝撃を与えました。職員による暴行・暴言、それは「医療」とは呼べない現実でした。そうした精神科病院での虐待事件は滝山病院に限らず、2020年には神出病院(兵庫県)でも、患者に、トイレで水をかけたり、身体に付けたジャムをなめさせたりする激しい人権侵害事件が発覚しています。
大阪精神医療人権センターは、大和川病院事件の解決に取り組み、その後も長年にわたり、病院訪問活動を続けてきました。しかし、滝山病院や神出病院のような数々の虐待事件に触れるたび、当センターの活動は、権利侵害にどう立ち向かえているのか改めて考え直す必要も感じます。
2022年9月に出された、障害者権利条約の総括所見では、残虐な取扱の禁止・徹底した調査、及び脱施設に向けた強い勧告が出ました。虐待と決別する強い意識をもち、私たち自身が向き合うべきことを、ともに考える場として今回の講演会を開催しました。
当日は、入院中の方の代理人として滝山病院の虐待を告発し、要望のある方に対しては退院に向けての支援をされている相原啓介さん(弁護士)の基調講演、パネルディスカッションでは林亜衣子さん(弁護士/元・神出病院における虐待事件等に関する第三者委員会)、尾上浩二さん(DPI日本会議副議長)、有我譲慶さん(当センター理事、長年精神科病院看護師として勤務をしてきた立場)にお話しいただきました。
本ニュースでは基調講演の概要報告と、尾上浩二さんと有我譲慶さんからお寄せいただいた当日のお話しのまとめを紹介します。
人権センターニュース169│「精神科病院での虐待をなくすために」(2023年度冬号)
2024.03.17 UP
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- プライバシーポリシーを改定しました
- 設立38周年記念講演会 精神科病院での虐待をなくすために~障害者権利条約・総括所見をふまえ、どう変えていくか~
基調講演概要報告
精神科病院にまつわる諸問題について考える
滝山病院事件とは何か~その背景も 相原啓介さん(弁護士) - パネルディスカッション登壇者より
国連勧告を追い風に虐待防止・脱施設脱病院を進めましょう/尾上浩二(DPI日本会議副議長)
精神科病院での虐待をなくすために~精神科病院で勤務してきた立場から/有我譲慶(看護師・大阪精神医療人権センター理事) - 各地で精神科入院中の方の権利擁護の取り組みがはじまっています
北海道より 「どさんこコロ」の場合
広島より 檸檬のこころでの研修報告
京都・滋賀より メンタルヘルスを考える会準備会報告 - インタビュー どの病院の入院生活も、個人の意思が 尊重されるものになってほしい/山本深雪さん
- ご寄贈のお礼~通信面会の自由の保障となるように~
- 講師派遣 授業でお話しをさせていただきました
- 入院中の方の声(2023年7月~9月)
例えば、人権センターニュースを2年間購読すると、精神科病院に入院する方へ面会に行くための交通費1回分になります。
人権センターニュースのご案内人権センターニュースは、精神科医療の権利擁護と精神保健福祉について当事者、家族、医療・福祉従事者、学生、教員、弁護士、市民それぞれの立場を超えて、安心してかかれる精神医療の実現に向けて、一緒に考えるための情報誌です。
人権センターニュース168│『精神科アドボケイト』の制度化 ~その可能性と課題~(2023年度秋号)入院中の方から相談をうけて面会に行く個別面会活動と、精神科病院を訪問して入院者から話を聞いたり病棟内の設備を見たりして、病院の療養環境の改善を要請していく病院訪問活動があります。