社会的入院の解消に向けて「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が打ち出されて15年以上経過しましたが、長期入院の数は微減です。このままではこの何年かで死亡退院が増加し、入院患者は自然減することになります。この意味は、精神保健福祉医療の体制が不十分なまま、制度設計もシステムもなく、私たちが精神疾患になり入院すると、退院できない状況が続くということです。
新しく入院する方の約9割は1年未満で退院されますが、1年以上入院される方はほとんど減りません。1年以上入院の方のうち7割は、死亡か、他の病院に転院になります。長期入院の方に退院可能性がない訳ではなく、住むところや在宅サービスの支援体制が整えば退院できる方もいらっしゃいます。
「病状が悪くて入院している…」と認識しているのは、入院中の方も病院スタッフも3割程度です。
残りの7割には次のような理由が挙がりました
・住居がないこと
・家族が反対している
・お金がないこと
・退院が不安である
・入院継続したい
・その他
退院できない理由を聞くと、入院中の方の理由ではなく、支援者のあきらめや、家族の不安、あるいは入院中の方本人が長い入院生活に「違う意味づけ」を見出したパターンなどがあります。
大阪精神医療人権センターのボランティア活動では、入院中の方へ面会に伺い、様々な相談や思い、希望に耳を傾ける「個別面会活動」を行っています。「純粋にニーズをきくことからスタートする活動」と角野さん。
現在、面会・電話・手紙による相談に対応するボランティアは50名を超えました。講師の角野太一さんは、このボランティアを養成する講座で、「退院できない理由が誰の理由か考える」と題した1コマを担当しています。
動画では、数字を示して解説するマクロな視点と、個別のケースよりミクロな視点で「退院できない理由」を学びます。
個別面会ボランティア養成講座で使用するテキストは、webで購入することができます。